ここでは先行研究調査、いわゆる文献調査、文献リサーチ、研究サーベイといった事が研究活動上いかに重要かを述べます。研究活動を遂行する上で一番重要なプロセスといっても過言ではありません。先行研究調査は現状の分析でもあり、過去の文献、問題の有無、問題が解決済みであるか、どのような解決案が提案されてきたか、問題解決の実現可能性、などを調べる上で大変重要です。
学生にありがちな状況として、研究トピックを身近な時事問題や自身の体験から拾い上げて安易に研究テーマとして設定してしまうことがあります。身近な問題は解決が望まれているので、それはそれで素晴らしいのですが、身近な問題であればあるほど、また解決が望まれている問題であればあるほど、すでに誰かが着手している可能性が高いのです。それらについて何も知識を持たずに、ぱっと思いついた方法論で問題解決を図ろうとすると、すでに同様な手法でチャレンジされていた、もっと有効な方法がすでに提案されている、ということを指摘されることも少なくありません。先行研究調査を十分に行っていれば回避出来た事です。
先行研究調査を行う事で現状分析が出来、研究分野や問題の体系化が出来るということもありますが、副産物として、自分自身では気づかなかった方法論や手法の組み合わせで解決出来る事への気付き、あるいは問題への切り口や焦点の当て方、新しいアプローチに気付く、ということがあります。
また、先行研究調査をしっかり行う事で、自分の興味や問題点が複数出てきてテーマが発散しがちになる所を、より明確化しテーマを絞っていく手助けになります。一つの研究レポート・論文ですべての問題を解決しようとするのではなく、問題を体系立ててまとめ、そして、このレポート・論文で解決すべき問題はこの部分である、というようにその分野の問題点については十分理解しているが、自分が取り組むのはこの部分であると自分の研究の立ち位置を明確にする事が肝要です。研究の意義や新規性などを示す上でも、自分の研究の立ち位置を知ることはとても重要です。
先行研究が掲載されている媒体は研究分野によって様々です。ある分野では新聞や書籍であったり、論文や学会発表の成果でないと先行研究として認められない場合もあります。以下で分野による先行研究調査の媒体、方法などの違いについて述べているので参考にしてください。
分野による違い
先行研究調査の重要性(情報分野)
先行研究調査の重要性(社会調査分野)
先行研究調査の重要性(政治・人文分野)
先行研究調査の重要性(デザイン分野)